ひとりごとのように

独身女が趣味で好きなことを書いてます。

たくさんの顔を持っている。

美容院にて。

 

受付のスタッフ、担当のスタッフ、アシスタントのスタッフ、顔見知りのスタッフ。

 

 

それぞれのスタッフと話したわけだけど、

それぞれに、それぞれの顔をしている自分に気が付いた。

 

 

わたし自身は「一人」なのに、全て違う人間のような気がした。

たくさんの顔、をしていた。

 

相手の容姿やキャラクターで、対応を変えてるということだ。

 

 

「この人には昨日見たテレビの話をしよう」

「この人は話し上手だから聞き役でいこう」

「この人とは話したことないから、とりあえず当たり障りなくいこう」

「この人とはなんだか無言も気まずくないな」

「この人は一生懸命盛り上げてくれてるから、わたしも話広げよう」

 

 

そういったことを行っていた。たぶん意識的に。

 

 

わたしが美容院が苦手なのはきっと、「会話を成立させなきゃいけない」と思っているからだ。

 

雑誌を読むことに逃げたり、目を瞑って寝てるフリをしたりもするが、それで持つほど短い時間ではない。

美容院はだいたい2時間〜3時間かかるのだ。

 

 

今の美容院は4回目。

まだまだ緊張してしまう。

鏡越しに会話をするのはとても苦手。だから、引きつった笑い顔をマスクで隠せる今はとてもありがたい。

 

 

美容院で働く方達のコミュ力にはいつも感心する。

年齢も性別も、ファッションやヘアスタイルの好みもバラバラな人たちを相手にする。そして要望に応える。すごい仕事だと思う。

 

わたしみたいな「お任せで…」な客にも「○○と△△だったらどっちがいいですか?」と、答えやすい質問でカウンセリングしてくれる。これがとても嬉しい。

 

そんな素敵な担当スタッフに対し、どうにかわたしも頑張らなくては!!と思った。

そこで、昨日見た「持っているクマのぬいぐるみの上半身と下半身切断されて川に捨ててある夢」の話をしてみたが、

「…夢占いだと、案外そーゆーのがいい夢だったりしますよ!」と励まされて終わった。

 

わたし的には「なんっじゃそりゃwww」と笑ってくれると思ったのだが、シナリオ通りにはいかなかった。

 

 

 

そろそろ終わるという頃に、前回タイプだなと思ったスタッフが近くにいることに気がついた。

鏡越しに一瞬目があって、それだけで胸がときめいた。

 

ときめきには、たくさんの顔も、会話もいらないんだなと思った。

 

彼が通り過ぎた後も、しばらく脳裏にはキラキラと残像が残っていた。

 

彼に夢の話をしたらきっと笑ってくれるだろう。そしてその笑顔にときめく自分が、容易に想像できた。