むかーしむかし、あるところに、そらという名前の女の子がいました。
ある日、そらは新しい職場で働くことになりました。
その職場にはそらと同世代の男女が多く在籍しており、みんな楽しそうに仕事をしていました。
そらは少しずつ打ち解け、仕事以外の会話も楽しむようになり、数ヶ月経つと、飲み会にも参加するようになりました。
そしてひとりの男の子からアピールを受けることになります。
その男の子は、痩せ型で、くせっ毛で、フレームが曲がったメガネを気にせずかけている子でした。周りからいじられることが多かったけど、仕事面では頼られる存在でした。
そして、笑った顔がとても可愛い人でした。
「彼、絶対あなたのこと好きだよ」
そう言われることが増えました。
そら自身も、そうかもしれないなと思い始めました。
ある晴れた夏の日、
男の子からそらへ「もうすぐ誕生日ですよね!ごちそうします」とLINEがきました。
その日を境に、仕事以外でも会うことが少しずつ増えていき、やがて2人は付き合うことになりました。
実家暮らしの男の子の家に遊びに行った時、男の子のお母さんがそらに向かって笑顔で言いました。
「(息子を)好きになってくれてありがとうね」
その時の笑顔は男の子にそっくりでした。
そらはその言葉が大好きで、10年以上たった今でも思い出しては優しい、柔らかい気持ちになるそうです。