ひとりごとのように

独身女が趣味で好きなことを書いてます。

全然思い出せない

AM4:59目が覚めた。

なぜこんな早くに目覚めたのか?意識ほわほわの状態で考える。

そうだ昨日は仕事が忙しく、在宅なのにダラダラすることなく駆け抜けたんだ。しかも残業するなデーだったので余計にエンジンかけてやった結果、疲れた。

 

就業後「お腹すいたなぁ」と考えながらベッドに倒れ、すぐ「とりあえず寝よう」を選択したのだ。

わたしが主婦や母親だったらここから家事をすることになるのだろうか。それって結構大変だな。みんなすごいなと感心する。自分の夕飯考えるだけでもしんどい時あるのに、誰かの分も考えるなんて…今のわたしには無理かもしれない。

 

 

そんなわたしだけど、過去に5年付き合って3年同棲していた彼氏がいた。

「そらは壁がある」「そらは人に心を開かない」と、男女共から言われていたわたしが同棲をするとなった時、きっと友達も驚いたと思う。「あいつ、人と住めるの?」と。

たぶん、わたしが人の家に行くのも自分の家に人を呼ぶのも苦手だったからである。

 

「5年付き合って3年同棲していた彼氏」は職場で出会った歳下の先輩だった。

仕事はできた。でもやる気はないタイプだった。ミスチル好きで、このシングルは何万枚売れた、このアルバムは何年何月何日発売した等データまで熟知してた。

バンドを組んでおりギターを弾いていた。作詞作曲もしていた。彼が作った曲は彼らしいめちゃくちゃピュアな曲だった。

 

ファッションセンスは微妙で「俺よくわからない。服はそらに選んでほしい」と言われたていた。いつもメガネが歪んでた。なのに気にせずかけてた。

 

髪型もこだわりがないため、伸びたら切るだけ。時々切りすぎて「サマーカットしたポメラニアンみたい」と言われていた。たしかに犬に例えるなら彼はポメラニアンだ。その日からわたしはふざけて彼を「ポメ」と呼んでいた。

 

アトピーだった。いつも身体をかいてるので彼が座った場所には皮膚の粉がパラパラと落ちていて「マーキングすな!」と突っ込んでいた。

 

早起きだった。

わたしと違って彼は休みの日でも8時には起きていた。こちらは当たり前に昼まで寝てるので「いつまで寝てんだ!起きろー!」とよくオカンみたいに布団をはがされた。

 

料理はできないタイプだった。いやきっとやればわたしより絶対できると思うが興味がないようだった。

そのおかげで何作っても「美味い」と食べてくれた。洗い物は進んでやってくれた。

 

付き合ってすぐにクリスマスがきた。お互い休みは取っていた。

前日に彼が家に来てディズニーのチケットを出し「明日はここに行きます!」と。

そして翌日ディズニーでアトラクションの順番待ちをしてる時、「ちょっと俺トイレ」とその場をさり10分足らずで戻ってきた彼の手にはダッフィーのぬいぐるみ。「はい、プレゼント」と。

そんなサプライズをよくされた。

わたしもサプライズするのが好きな方で付き合ってる時はお互いよく仕掛けていた。年々感づくようになってしまったけれど。

 

彼がわたしの家に泊まることが続いたこと、そしてアパートの更新が近づいたことで同棲をすることを決めた。

お互い母子家庭で育ったわたしたちは、それぞれの母親に挨拶をした。

 

それから約3年一緒に暮らした。

職場も家も同じ、いつも一緒だった。(わたしは途中転職したので途中から職場は別となった)

会わない最長期間はわたしが旅行に行った3〜4日くらいで、本当にずっと一緒だった。

 

そしてわたしが29歳の時に別れることとなる。言い出したのはわたし。

理由は割愛する。

 

住んだマンションを引き払うまで、彼は毎日夕飯は一緒に食べようと連絡をしてきた。

わたしが新しい家に引っ越してからも時々連絡がきていた。

誕生日にはおめでとうとLINEが来た。

彼のことが嫌いなわけではないけど、もう付き合うことはないだろう。

だから返事はしたりしなかったり。

 

そして別れて数ヶ月後のある日「話がある」と、いつもと違う連絡がきた。ヨリを戻したいって言われたらどうしよう…なんて考えながら彼と会った。

彼が口にした言葉は意外だった。

 

「俺、大腸癌になった。入院するんだ」

 

何が、ヨリを戻したいって言われたらどうしようだ。わたしは馬鹿だ。

彼は病に苦しんでいた。

 

わたしと別れてしばらくして、彼は職場で倒れ病院へ、そして大腸癌が発覚したとのこと。

目の前で彼がステージの話をしていたが正直覚えてない。何も頭に入らなかった。目の前の彼は元気そうに見えるけど、身体はそうではないらしかった。

 

そして彼は入院し、わたしはお見舞いに行くことになる。

 

わたしは「人工肛門」というものを初めて見た。いや、ちゃんとは見てないけど服の上から触らせてもらった。

「もう慣れたよ」と笑っていたが、彼はどれだけのことを乗り越えてきたんだろう。

 

 

癌の話をされた時、彼を心配する気持ちはあったけどまた恋人として共に過ごしていけるかは、わからなかった。別に彼からヨリを戻したいと言われたわけでもない。だからなんとなく友達、家族のような、そんな感じで付き合っていた。

 

もし付き合ってる時に癌が発覚していたら、別れることはなかったかもしれない。

友達にも「なんか、こーゆーのってタイミングだよね」と言われた。

 

 

それから彼は元気になった。

いつのまにか彼からの連絡はこなくなった。素敵な人と出会えてるといいなと心から思う。

 

 

元彼のことをふと思い出した朝だった。

他にもたくさん思い出すことはあったけど、自分が他人を好きだったその感覚は思い出せない。全然思い出せない。

 

こうして再びわたしは心を閉ざしてるやーつになっていくのだろう。