ひとりごとのように

独身女が趣味で好きなことを書いてます。

アラフォー、上空で嘔吐。

GW、ぷらっとお出かけした帰りの飛行機の出来事。


歩き疲れてるはずなのになかなか眠くならず、音楽を聴いて過ごしていた。

あと15分くらいで着くかなという時に機体が揺れ出した。

びっくりした。周囲もびっくりしてた。

機内がザワついたところでアナウンス。

 

「現在揺れが激しくなっておりますが問題ございません」


そうか、まぁそうだよねと思い、外したイヤホンを再度装着。

するとまた揺れが起きる。

再びアナウンス。


「現在雨雲の中(積乱雲?)を通過中のため、大きく揺れておりますが問題はございません」

 

揺れは収まらない。ゴゴゴッと音まで付いてきた。

縦揺れ?横揺れ?もうわかんない。


「揺れが激しいですが、安全なルートを通っていますのでご安心ください」

 

精神的な怖さはなかったが、だんだん身体の様子がおかしくなってきた。

 

あ、これやばいかも… 気持ち悪くなるかも…

 

機体はまだアップダウンしている。

するとまたアナウンス。

 

「シートベルトは外さずそのまま座席でお過ごしください。体調が悪くなった場合は座席のシートにあるエチケット袋をご利用ください」

 

だよね、これ気持ち悪くなるレベルの揺れの長さだよね!?


いやいや、まじでちょっと早く収まってくれ…


だんだん気が気じゃなくなる。

音楽聴いてられなくなる。

 

トイレにもいけない。

シートベルトもはずせない。

ただただ揺れが収まるのを待つしかない。

地獄…

 

落ち着け落ち着け…と言い聞かせるほどに酔ってくる。

 

あぁ、これ吐くやつだ。

くる、きっとくる。

自分の体のことだもん、わかるもん。
何回吐いてきたと思ってんねん。うっう。
あぁ…まじか、ここで気持ち悪くなるのかー、

信じられないよ、ここ飛行機だよ?

 

 

5分ほど経った頃、揺れは落ち着いてはきたが、わたしの吐き気は元気に走り出す準備をしていた。


「落ち着け落ち着け」

そんな言葉は届くはずもなく、不快感は増すばかり。吐き気の野郎、めっちゃ張り切ってる。ハチマキ巻いてる。

 

気持ち悪くなってもそこが家や外ならいい。

うずくまったり横になったりできるし、トイレだって行ける。

しかし、ここは飛行機の中。


機長はシートベルト絶対外すなと言っている。
吐きたいなら袋に吐けと。(そんな言い方はしてない)

 

「現在、安全のため、客室乗務員も着席の指示を受けております」

 

ここにきてとどめのアナウンス。助けは呼べない。


どんどん汗が出てくる。
手がビリビリしてくる。
だめだ、これはもう、負けだ。

 

諦めた。わたしは諦めた。

吐こうと決めた。もう吐くぞ。わたしは吐くぞ。
だが隣には人がいる。せめて先に伝えておかなくてはと思った。だって急に隣の人オエッなったらやだよね。


「すみません。気持ち悪くなっちゃって、この袋に吐いていいんですよね」

(↑実際はこんなちゃんと話せてない。)


隣の若いお兄さん「え、あ、う、うん」

困ってた。そりゃそうだ。

隣で今から吐きまーす!宣言は怖い。ほんとごめん。

 

とりあえず了承を得た。

よし、これでとりあえず吐いてもOKの空気になった。

 

しかしまたここでピンチが。

エチケット袋に謎の切り取り線があったのだ。


なんでだよ!最初から口開けといてよ!

吐き気やばい時に点線に沿って開けるなんて、苦行だよ!

手震えすぎてなかなか開けられないわたしを見かねて、隣のお兄さんがあけて渡してくれた。

 

お兄さん、そこから放置というか無関心だった。
本心としては「大丈夫ですか?」とか言って欲しかった。(図々しい)

 

まぁ隣で袋に顔埋めてる人なんて怖いか。

が、そんなことまで気にしてられなかったので、袋を顔から離さず、ハァハァ言ってたらオエっときた。

ちょっと胃の辺りはスッキリしたけど汗は止まらない。そしてなんと、今度は腰が痛くなる。 

こ、この痛み、生理痛や。

嘘でしょ、信じられない。
このタイミングで生理くる?!空気読めなさすぎ。

 

 

この時本当に心から、地獄だな。と思った。

 

「あと10分ほどで空港へ到着予定です。シートベルトはそのままでお待ちください」

 

アナウンスが聞こえた瞬間、また絶望。
まだ10分もあるらしい。

10分て何秒?10×60だから、えぇ600秒?!

数えて待つには気が遠い。気を紛らせたいのに。


雨雲抜けたのならトイレ行かせて…と思ったが、着陸に向けてシートベルトは必須のよう。そりゃそうだ。

もう吐くものはないが気分は最高に悪い。
発汗がすごいし、生理痛のせいでお腹と腰が死にかけ。

それでもなんとか、なんとか涙目で耐えた。


着陸。

よし、止まった!と思ったが、

 

「現在停止しておりますが、停止位置を修正いたしますので、そのままお待ちください」


おいー!

匂わせがひどい。


でも停止してるんだ。

「陸地にいるんだしトイレ行かせてくれるのでは」と淡い期待を抱き、客室乗務員呼び出しボタンを押した。

こんなボタン「寒いんでブランケットください」の時にしか押さないと思ってたよ。

 

さすがにリアクション薄めの隣のお兄さんもキョロキョロしてて、たぶんあれは、「はよ誰か来いよ!」と思ったのだと思う。

それでも全然来ないCAさん。そしてまたアナウンス。


「機長より客室乗務員にも座席から立たないよう指示が出ております。恐れ入りますがお待ちください」


ばかー!!!
さすがにイラっとした。(ごめんなさい)

 

それから5分ほど待ち、ようやくCAさんが来た。
うまく話せないわたしに代わり、隣りのお兄さんが「体調悪いみたいです」と。
そしてわたしはようやくトイレに行くことができた。

 

吐き気をもよおした時のトイレの個室は天国。


幾度となくトイレにかけこみ吐いてきたわたし。

トイレという場所はとても尊い。

落ち着くなぁと、しばらくうずくまってたら、ノックされる。
「お客様大丈夫ですか?」と。

 

大丈夫じゃないので無視したら、またノックされる。

そこでハッとした。
そうだここは飛行機だ。
次のフライトがあるのかも。やばい、出なきゃ。

なんとか体を起こしドアを開ける。
5人くらいCAさんがいてとても恥ずかしかった。

皆さん優しくお声をかけてくれた。

機内降りるまで横に付いててくれた。

さっきばかー!って思ってごめんなさい。

 

水を飲んで深呼吸してたらだいぶ良くなった。

やっと飛行機から降りることができ、「自由に動ける」という安心感を得たおかげだ。

 

このあとは電車なので、もしまた気持ち悪くなっても逃げ出せる。大丈夫だ。

 

とりあえずよかったとほっとしてると、電車の切符売り場でさっきのお兄さんを見つける。
声をかけお礼とお詫びを告げると「いえいえ、全然いいですよ。大丈夫ですか?」と。

その言葉さっき欲しかったよ、と思った嫌なわたし。

でもちゃんとお礼言えてよかった。

本当ありがとうお兄さん!!

 

お兄さんが内心ドン引きしててもいい。

後から「飛行機で隣の女吐いてたんだけどw」ってSNSにあげてもいい。とりあえず無事に歩けてることが嬉しかった。

 

 

今年の抱負は「吐かない」だったんだけど、4ヶ月しか達成できなかった。

 

飛行機で酔うなんて思わなかった。

飛行機で吐くなんて思わなかった。

エチケット袋使う日が来るとは思わなかった。

 

 

飛行機降りる間際、CAさんが

「これ念のために!」とエチケット袋を2枚くれた。

 

これが一番の旅の思い出の品となったことは、言うまでもない。

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