同期がいる。
お互い歳を知らない。
初日や二日目に、聞いてみようかなとも思ったがタイミングを失い、もう3週間が経ってしまった。
別に何歳でもいいのだ。
だけど、なんとなく気になってしまう理由は「タメ口使っていいか問題」の存在だと思う。
仲良くなるのが早かったのもあり、3日目には少しずつタメ口になっていたわたし。しかし、同期は敬語のままだった。
きっとわたしのことを歳上だと思っているのだろう。そして、わたし自身も自分の方が歳上だろうと思っている。
でも確信はない。
年齢を見た目から判断するならば、同期は、う〜ん。30前後か?
難しい。年齢を当てるのは非常に難しいと思う。特に女性の年齢は年々よくわからなくなってきた。
25と言われれば25だし、30と言われれば30だし、35と言われれば……キリがない。
昔よく行ってた飲み屋に、いつも1人で来るオシャレな女性がいた。
「あの人40過ぎてるらしいよ!見えないよね!」と友達が教えてくれた。
確かに40代には全く見えなかった。しかし「40代」という情報を与えられた後、なぜだか「確かにそう言われたらそう見えなくもないかも」と思った自分がいた。なんてこった。わたしは情報にまんまと乗せられたのだ。
噂話をそのまま信じて、見る目を変えてしまう人と似てるなと思った。「言われてみればそうかもしれない」ってやつだ。
自分が感じたままの想い、塗り替える必要なんてないのに。
「タメ口でいいよ?」
さらっと同期に言ってみたが、「いやいや、そんなそんな」と丁寧に拒否られた。
これは同期の中では「結構離れてる」という認識なのかもしれないと思ったので、それ以上言うのはやめておいた。これは同期なりの気遣いだ、と受け止めた。
距離感は重要だ。心地よい距離感がお互いに一致していないと「は?今タメ口使った?」となるわけだ。
距離を詰めるのは簡単ではない。詰めて欲しくない場合だってある。
仕事の人間関係はわかりやすいけど、恋愛となると微妙だ。
恋愛には、そろそろいいかな?まだやめとこうかな?みたいな、ソワソワする微妙な時期が存在する。あれがわたしは好きだ。いや、大好きだ。
あの「めちゃくちゃ楽しいけどちょっと緊張する」みたいな雰囲気はすごく貴重だと思う。
100%知っちゃうと面白くない。それと同じで、100%心開いてまーす!なんでもOKでーす!何しても許しまーす!は、恋愛初期には必要ないとわたしは思っている。
今までわたしのことを呼ぶ時、苗字に「さん」付けだったのが、付き合うと決まった瞬間「名前呼び捨て」に変えた人が過去にいた。
正直びっくりした。え?って。
え?今呼び捨て…しました?よね?さっきまで「◯◯さん」だったと思うんですけど?さっきまで、敬語混じりで会話してましたよね?なのにもう呼び捨て?俺の女的な?あー、そういう感じ?ちょっと距離詰めるの早くない?わたしの考えが頑固なだけ?あれれー?待って待って、キスに集中できなーい!神様ぁ〜〜〜
結局その後、わたしは彼のことを「田中」と苗字呼び捨てで呼ぶようにした。彼も驚いたことだろう。
やっぱり、やられたらやり返さないと。